2023年10月02日
毎年体育の日の前日の日曜日に行われる秋元神社の赦免地踊りは江戸時代に八瀬の永代地租免除の特典が守られた事を感謝して行われる京都市の登録無形文化財の踊りです。
衣裳(燈籠着と呼ばれている)の老朽化に伴い文化庁の補助のもと、新調のお話を得意先を通じていただきお手伝いさせていただきました。
最初に見せていただいた見本は八瀬と皇室とのお付き合いを彷彿とさせる様な江戸期のものと思われる御所解(ごしょどき)の帷子で仕事は全体に疋田とカチン描きに豪華な刺繍を施したものでした。
そのままの復元はとても難しいので、似た柄を現在の技法も使って作らせていただきました。
この衣裳を燈籠着と呼ばれるのですが、
8月に八瀬でありましたお披露目の様子は8月28日付けの読売新聞朝刊の京都版にも掲載されております。
いよいよ今月8日、私達もかかわらせていただいた衣裳(燈籠着と呼びます)が初めて実際の踊りに着用されます。
2011年12月12日
ローで、線描きして、その中に多色の色さしをして柄を表現するのはよくある技法です。
また、それを総てローで伏せて、地色をつける(引染)ことも、よくあることです。
しかしながら、その線描きとロー伏せの間に、ほんの少し(1mm?)のすきまをあけて、伏せる表現方法を考案した職人さんがおられます。
さし色と線のあいだに地色が入るため、さらに柄全体の表現に深みが出る技法です。
これを「ずぼら伏せ」という名前をつけておられました。
2011年05月13日
何の更新もしないまま、1年... あっという間に過ぎ去ってしまいました。
その間に大震災、心よりお見舞い申し上げます。
久しぶりに前回の続きを書いて参ります。
前回、いわゆるチャンチン(ジャワのローケツ技法)でローの縞を作るやり方を紹介しましたが、その職人さんが、やはりローを使って、今度はその縞の中に、シルエットを作っておられました。
それは、
ということで、シルエットが作れます。普通の紙やビニールのエンブタと違い、筆のタッチが使えるところが、利点ですが、生地のぬらし具合が簡単ではありません‥
‥職人技です。
2010年03月23日
あちらこちらに話がとびますが、誰も手がけなくなったローケツのテクニックの事、心覚えに書いておきます。
昭和30年代の職人さんは、それぞれに工夫して、独自のやりかたを開発されていました。
その一つとしてまずチャンチンを紹介します。
持ち手のさきに小さな口のついた金属の容器をつけてその中の蝋を平均にたらせるようにした道具をチャンチンといいます。
その方はその金属容器のまわりにニクロム線をまきつけて蝋が冷えない工夫をし、さらに枠場の「ころ」に正対してすわって、「ころ」にハンドルをつけて回すことで縞をひけるように工夫されていました。
生地の全面に蝋の縞が入った着尺は、蝋のかぶりも面白くとても味わい深いものでした。
2010年02月24日
「知る者は言わず。言う者は知らず」という老子様の言葉にもかかわらず、この様なことを始めたのは、和装がどんどんすたれてきて、もうすぐにっちもさっちも行かなくなる という危機感にとらわれてのことです。
戦前 型染めから出て加工(手描き)も手がけ、複合加工もいろいろ手がけてきたこの店の技法・柄など少しでも残ってくれればと思っています。